南房総 旅の玉手箱

第7回 里村の「ファミギャラ」


ギャラリー SFK (火曜、水曜はお休み)
  ファミレス(ファミリー・レストラン)があるのなら、ファミギャラ(ファミリー・ギャラリー)というのもあっていい。南房総の滝田城址の下に、SFKという名のギャラリーがある。城の下と書いたのは、江戸時代の戯作者げさくしゃ・滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」の舞台となった滝田城は山城で高所にあるからだ。SFKは「訪れる人が、自分の家のようにほっとするスペースにしたい」という家族の想いが形になった。建物は宮大工のご主人が建て、水墨画家・山鹿公子(やまがきみこ)さんが主宰する。Sは書家であった父清一郎さんのS。Fは布絵作家の母文子さんのF。Kは公子さんとご主人の姓・勝野からとった。

 山鹿さんの母文子さんが布切れを使いフクロウの貼り絵をはじめたのは70才になってから。それまでは女性は家事に専念すべし、というシキタリの家で苦労をかさねた。70才から亡くなる85才は、彼女にとって少女時代の再来、まさに老年デビュー。フクロウの布絵だけでも7000点を超えた。着物の切れ地は、人形作家の辻村寿三郎氏も協力。人形をつくった時の残り切れを文子さんのところにとどけてくれたという。

 ギャラリーを開設して3年。公子さんの父、母、妹さんとのコラボレーション家族展、郷土史研究家・福原やわらさん(96才)の絵日記折本展、庄司すなおさん(86才)の手織り草木染展など、ほのぼのとした企画展が人気だ。
 山鹿公子(画号公珠)さんは、水墨で抽象画を描く。自分は“即興絵師”だという。心に浮かんだインスピレーションを筆が運んでいく。墨の強弱、速度などが精神的なものを表わす。瞬時に形が描けるようになるには、長年つちかったデッサン力が必要だ。公子さんは東京・深川に生まれ、14才から絵の道に入っている。
 最近は「子供の百人一首」や「増間の昔ばなし」など、水墨のさし絵を描き、還暦を過ぎて創作意欲ますますさかん。やはり母と娘は似ているのでしょうか。


塩瀬の絹地にトウモロコシ、ツバキの実を。
布にかくことは性に合うという山鹿公子さん

草木染(農人舎製)の麻のれんに漂白液で描く。


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