富浦の自然・ビワ・働く人
  1. ビワの木にとって、一番環境(かんきょう)が良いのは山の高いところです。なぜなら、山の高いところは、急な斜面になっているので、冷たい空気が下に流れていってしまうからです。ビワは冷たい空気にさらされると実がならなかったり、表面の組織(そしき)が壊(こわ)れてしまいます。これを寒害(かんがい)といいます。寒害(かんがい)になりにくい場所が、山の高いところなのです。しかし一方で、急斜面(きゅうしゃめん)での作業はとても大変で、手間(てま)もかかります。
  2. 山の高いところでの作業には苦労(くろう)が多く、ビワ農家として働く人も減(へ)っています。そこで、なるべく作業を楽にするために山の低いところでの生産を行っています。しかし、作業は楽になっても、山の低いところでは冷たい空気がたまってしまいビワが寒害をうけてしまう、という問題点(もんだいてん)があります。
  3. 山の高いところではビワは良く育ちますが、働く人がとてもたいへんです。山の低いところでは働く人は楽になりますが、ビワが寒害(かんがい)を受けてしまうかもしれません。そこでハウス栽培(さいばい)が登場(とうじょう)しました。ハウスは平地(へいち)にあり、作業もどんどんはかどるので、働く人はたいへん楽になります。また、ハウスの中はあたたかくしていますので、ビワが寒害(かんがい)にあうこともありません。しかし、春ごろから日差(ひざ)しが強くなると、ハウスの中が暑すぎることもあり、かえってビワが傷(いた)んでしまうこともあります。ハウスでは温度の管理が重要になります。ちなみにハウスビワは早い時期に出荷(しゅっか)できるので、高く売ることができます。
  4. ビワの栽培(さいばい)は、「寒害(かんがい)」と「作業する人の苦労(くろう)」という2つのことを一緒(いっしょ)に考えることが大切です。私たち富浦の先人(せんじん)たちは、この問題に真剣(しんけん)に取り組み、山の上から平地(へいち)にまで広くビワを栽培(さいばい)するようになりました。そして、現在のように富浦町がビワ日本一の町になったのです。