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南房総 旅の玉手箱

第18回 萬祝まいわい紺屋亦右エ門こうやまたえもん


網の中の鰹がすそ模様のめずらしい萬祝

 内房・富浦町の小林栄一さん(75歳)は、父親の代まで萬祝紺屋まいわいこうやを職としてきた。小林家は家業を継ぐと亦右エ門と改名する。8代前までの亦右エ門は分かっているそうだが、それ以前は、もらい火で寺の過去帳が消失し、さだかではない。紺屋は主に藍を使って反物などを染める仕事で、他に紅屋、茶屋とそれぞれ得意の色で分かれている。紺屋は、日本人のほとんどが着物を着ていた時代に繁盛し、着物がすたれるにつれて、止めたり、同じ布や水を扱うということでクリーニング業に転じた家も多い。小林さんの父親・亦右エ門は、明治の生まれで、西行さいぎょうと呼ばれる染色職人を10人ほどかかえていたが、終戦後は大型洗濯機(当時ワッシャと呼んだ)を2台入れて、クリーニング屋を始め、小林さんの代に至っている。

 萬祝は、大漁祝いなどで船主から乗子に贈った正月の引き出ものである。江戸中期から流行はやりだした漁師の丹前(綿わた入りの防寒着で、関東のどてらと似ている)で、藍染めに朱色などを使って、あざやかな絵柄が染め上げられている。鶴亀、恵比寿・大黒、波に魚や千鳥、三人囃(ばやし)など、船主は紺屋の型紙から図柄をえらんぶ。紺屋亦右エ門の萬祝は、人物をテーマにした図柄が多い。複雑で手間が多く、染でごまかしがきかないという。

 小林さんは以前、テレビの「なんでも鑑定団」に亦右エ門の萬祝を出したことがある。本人は5万、10万と評価額を付けていたら、“オープン・ザ・プライス60万円!”と出た。萬祝で網にかかったかつおの図柄は見たことがない、という理由から値付けが上がった。
 古いもの、珍しいものを、こよなく愛する小林さんは、50歳のころから骨董を集めだした。現在、家の近くに、私設博物館「紺屋歴史資料館」を開いてる。壁を飾る見事な萬祝をはじめ、兵隊人形、江戸の虫売りがかついだ駕籠かご、南総里見八犬伝本と八犬伝版画、日本一大きいくじらのペニス、代々の亦右エ門が使った藍瓶あいがめなどなど。

 「紺屋の地震」という昔のシャレがある。瓶がこわれて、藍が澄まない。つまり「あいすみません」の意味。おあとがよろしいようで・・・。




古いもの達に囲まれた小林栄一さん

昔の動く広告・半天や前掛けなどに
使われた型紙

日曜に開く「紺屋歴史資料館」

海の男の晴着・萬祝


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