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鯨について | 沿岸捕鯨の道具 |
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鯨について
・沿岸捕鯨の道具
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アガシモリ
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アガシモリ |
江戸時代の沿岸捕鯨で使われていたモリです。全長4mほどのカシ製の竿の先端に、アガシモリを1つ装着し、モリには16m程度の麻縄を撚った縄(アガシ縄)が付けられていました。鯨にモリが刺ささるとモリ竿は外れ、アガシ縄を引くと、アガシモリが体内で回転し、鯨からモリが抜けなくなるように工夫されています。
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テナゲモリ
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ツチクジラに手で打ち込むモリです。全長2.3〜2.4m、鉄製のモリ先にケヤキやカシ製の柄が銅線で固定されています。モリの先端は、回転できるように作られており、形は火薬を爆発させてモリを打ち出す「ボムランス」のものに類似します。関澤明清の弟・鏑木余三男が明治31年(1898)に設立した「房総遠洋漁業株式会社」で使用されたものです。
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テナゲモリ |
コロシモリ
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モリを打ち込まれ弱っている鯨の心臓に、このモリを刺し完全に仕留めるために使われました。全長2〜3.3mで、マツ・カシ・ケヤキなどの柄に鋭い鉄製のモリ先が、鋲や銅線で固定されています。明治時代後半に、房総遠洋漁業株式会社で使用されていたものです。
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コロシモリ |
グリーナー砲
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ボムランスを使用するアメリカ式捕鯨(銃殺捕鯨)の後に導入された砲殺捕鯨で使用された捕鯨砲です。アメリカ式捕鯨は、手漕ぎのボートで鯨に近づき至近距離から捕鯨銃・ボムランスでモリを打ち込むのに対し、ノルウェー式捕鯨に代表される砲殺捕鯨は、動力船の舳先に据え付けた捕鯨砲で鯨にモリを打ち込むものです。グリーナー砲は、イギリスのグリーナーにより開発された捕鯨砲で、この資料は、明治時代後期に東京で製作されたものです。モリの射程距離は27m、明治39年以降、房総遠洋漁業株式会社の後身・東海漁業株式会社で使用されたものです。
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グリーナー砲 |
平頭モリ
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平頭モリ |
ノルウェー式捕鯨砲用のモリは、戦前に使用されたモリ先が尖ったタイプから戦後、昭和20年代後半にモリ先が平らな平頭モリに改良されました。一見、尖っている方が刺さりやすいと思われますが、水面ではねてしまい、平たい方がまっすぐ、水中に入り、命中率が格段に上がりました。
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トピックス − クジラのタレ
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房総の名産の珍味に「クジラのタレ」があります。これは、ツチクジラの生肉を薄く切り、塩をふって揉み、3〜4時間置いてから、1日ほど天日干したものです。江戸時代以来、房総の沿岸捕鯨の漁期は、6月から8月の夏の暑い時期であったため、ツチクジラの生肉を保存するための方法として、この「クジラのタレ」が考案されたと考えられます。全国的に見た場合、ツチクジラの捕鯨は、殆ど安房地域に限られ、このタレの製法はツチクジラの肉に適したものだったようです。ツチクジラを捕らない伊豆では、同じ方法で「イルカのタレ」が作られているということです。
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