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房州低名山(ぼうしゅうひくめいざん)

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鋸山ルート

長く険しき房州の屋根

2012年11月5日
◎鋸山(のこぎりやま)(鋸南町・富津市) ○ランク★★★

 低名山には珍しい尾根筋ルート。富津市観光協会が「金谷アルプス」と呼ぶ、房州の屋根・鋸山である。
 5時間かかるコース。距離が長く、急登も多いので、中・上級者向けのコースといえる。
 発点は富津市のJR浜金谷駅。駅を出て市街地の中を歩くと、「鋸山登山道」「ハイキングコース」の看板があるので、これに従って歩む。JR内房線の天王川ガードをくぐるとすぐ、分岐点になる。看板が整備されていて、正面の階段道が「鋸山ハイキングコース」、左手が「車力(しゃりき)道コース」である。
 車力とはその昔、この山で石を切り出し運んでいた人たちの呼び名。強力(ごうりき)と同じ、その道のプロである。切り出した石は金谷石と呼ばれ、建築資材として、重宝された。石は専用の木製荷車に乗せられ、この急傾斜の道を降りた。この車を操る人を車力と呼ぶ。その車力さんが通った道だから車力道。
 富津館山道路の陸橋の下を通ると、また分岐となる。看板どおり左に進むと土の道に。ここからが車力道である駅から19分。
 車力道には、金谷石が敷かれ、この上を荷車が通った。車輪の跡やブレーキ跡で、いく筋もの溝がある。丈夫な金谷石をも削る、車力とは何という過酷な労働だったろう。石は苔むしているが、がっちりしていて歩き易い。雑木林の中を歩く快適な石畳である。
 車力道スタートから17分ほどで第3休憩所へ到着。ここは切り出した石のストックヤードだったという。小休止して上へ。第2休憩所、第1休憩所と進む。眺望は良く、東京湾フェリーの出港の様子が手に取るように見える。道は急登であるが、石階段なので実に登り易い。
 歩みを着実にこなすと、正面に石の壁が広がる。これが鋸山石切り場の跡である。先人たちがノミで切り出した跡が生々しく、掘った跡には水が溜まっている。ロープウエーや自動車登山道からでは味わえない景色である。
 登り始めて1時間ほどで、登山道との合流になる。ガード下分岐の正面階段を歩めば、この道になるのだ。日本寺境内北入口までは、最後の胸突き八丁。ぐっとこらえて足を踏ん張る。
 入口で拝観手続きを取り、百尺観音へ。すぐ頭上が有名な地獄のぞきである。観光客が地獄をのぞいている。
 百尺観音からはずっとコンクリートの階段が続く。ここからは観光客に混ざって、尾根筋を東にルートを取る。瑠璃光展望台からは対岸の三浦半島、内房沿岸、富津市内の山並みがぐるりと見渡せる。小休止して、出発。
 地獄のぞきを過ぎると、鋸の歯となる尾根筋を歩むことになるこのルートは、この鋸歯の上を進み、林道まで出ようという、壮大な尾根歩きである。

 房州には珍しいクマザサの植生を見ながらのアップダウンが続く。展望台から21分ほどで眺めの良いピークに立つ。22分ほど歩くと、千葉テレビの鋸山テレビ中継局になり、その隣に鋸南町の防災無線局がある。
 テレビ中継局から5分で、一等三角点の「鋸山」があるピークとなる。標高329.5メートル。三角点のそばには、菱形基線測点の大きな石柱が鎮座する。明鐘岬を西端に東へ延々と続く鋸の尾根は、ここが最高点である。北側と南側の眺望が良く、東京湾内の建物が良く見えた。

 電車を使えば、浜金谷から保田までを歩く。マイカー派でなくとも山は楽しめる。
 なお、関東ふれあいの道「東京湾の見える道」として2006年4月に整備が終わり、車力道以外のルートも充実している。
(2005年3月14日登山)
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