品種(ひんしゅ)
もぎ 茂木(もぎ)

1830〜1847年のころに長崎市茂木(もぎ)町の三浦シオが、中国産のビワ、いわゆる「唐(から)ビワ」の種子(しゅし)をまいて育てたもの。九州のビワ産地は、この品種(ひんしゅ)とともに発展(はってん)し、現在も当地ではもっとも栽培(さいばい)の多い品種(ひんしゅ)です。
たなか 田中(たなか)

1879年、東京本郷(とうきょうほんごう)の男爵(だんしゃく)・田中芳男(たなかよしお)が育てたもので、その種子(しゅし)は長崎から持ち帰った、おいしくて大きな「唐(から)ビワ」であると伝えられています。1887〜1888年に結実(けつじつ)しています。
くすのき (くすのき)

1876年に高知市の楠(くすのき)正興侍医が育てたもので「唐(から)ビワ」の実生(みしょう)です。千葉県ではかなり栽培(さいばい)していましたが、果実が小さく、寒さにも弱いので現在ではわずかに残っている程度(ていど)です。
瑞穂(みずほ)

1936年、旧・農林省果樹試験場(のうりんしょうかじゅしけんじょう)で発表したもので「田中」X「楠(くすのき)」の交雑品種(こうざつひんしゅ)です。大きくておいしいビワなので、近年(きんねん)は栽培(さいばい)する人が増えつつあります。
大房(おおぶさ)

「田中」X「楠(くすのき)」の交雑品種(こうざつひんしゅ)です。1942年に「大房」として発表されました。これは、1917年からはじめられた、旧・農林省園芸試験場(のうりんしょうえんげいしけんじょう)の新品種(ひんしゅ)の育成(いくせい)によってできたものです。寒害(かんがい)や連作障害(れんらくしょうがい)に強いので、田中種よりも収穫が早いので千葉県のビワの多くはこの品種(ひんしゅ)になっています。
とごし 戸越(とごし)

1939年に旧・農林省園芸試験場(のうりんしょうえんげいしけんじょう)が公表(こうひょう)したもので「茂木(もぎ)」X「田中」の交雑品種(こうざつひんしゅ)です。果実が傷みやすく市場出荷(しじょうしゅっか)に向かないので、あまり栽培(さいばい)されていません。
ふさひかり 房光(ふさひかり)

1982年に品種登録(ひんしゅとうろく)されました。千葉県暖地園芸試験場(ちばけんだんちえんげいしけんじょう)で育成(いくせい)した品種(ひんしゅ)で「瑞穂(みずほ)」X「田中」の交雑品種(こうざつひんしゅ)です。ビワの皮に発生する生理障害(せいりしょうがい)が少なく、見た目が美しい。
さとみ 里見(さとみ)

1981年に公表(こうひょう)され、1982年に品種登録(ひんしゅとうろく)しています。「楠(くすのき)」の自然交雑品種(しぜんこうざつひんしゅ)です。見た目が美しく、おいしい。しかし、果実の角(かど)がはっきりしていて五角形になり、味もおいしくない"角ビワ"が発生することがある。
ふさひめ 房姫(ふさひめ)

1995年に公表(こうひょう)されました。千葉県暖地園芸試験場(ちばけんだんちえんげいしけんじょう)で育成(いくせい)した品種(ひんしゅ)で「楠(くすのき)」X「津雲(つぐも)」の交雑品種(こうざつひんしゅ)です。見た目は少し良くないのですが、多汁(たじゅう)でおいしい品種です。
富房(とみふさ)

1989年に公表(こうひょう)、品種登録(ひんしゅとうろく)されました。千葉県暖地園芸試験場(ちばけんだんちえんげいしけんじょう)で育成(いくせい)した品種(ひんしゅ)で「津雲(つぐも)」X「瑞穂(みずほ)」の交雑品種(こうざつひんしゅ)です。ハウスで良く育つので、千葉県ではハウスで利用されています。
福原びわ(ふくはらびわ)

1959年に千葉県安房郡(あわぐん)富山町(とみやまちょう)の福原周平(ふくはらしゅうへい)が農林種苗名称登録(のうりんしゅびょうめいしょうとうろく)した品種(ひんしゅ)です。彼が中国から持ち帰った白びわを「瑞穂(みずほ)」と交配(こうはい)して作りました。実はとても大きく、100gを超(こ)えるものも珍(めずら)しくありませんが、見た目があまり美しくないのが欠点です。
しろもぎ

白茂木(しろもぎ)

1982年に品種登録(ひんしゅとうろく)されました。長崎県果樹試験場(ながさきけんかじゅしけんじょう)で育成(いくせい)されました。茂木(もぎ)の種子(しゅし)に放射線(ほうしゃせん)をあて、突然変異(とつぜんへんい)させたものです。実がやわらかくおいしいビワになります。


参考資料・出展
 びわ 房州ビワを中心とした栽培法  中井 滋郎著 株式会社とみうら発行