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南房総 旅の玉手箱

第27回 森から離れた流浪の民

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千葉県森林組合
武山冨士雄氏
 肩書きは、千葉県森林組合安房支所業務部長。武山冨士雄氏(46歳)は、公人として、林業一筋に務めてきた。農家に育ち、何もわからずに森の仕事に入った。森の先輩たちは、大方無口で、短い言葉で指示をし、仕事は体で会得させた。

 昔は多くの人が森に入ったという。山を治め、水を治め、木の葉や下草を田畑に入れ、裏山の木を伐りだして家を建てた。家は子々孫々受けついでいく。山で100年たった木を木材に使えば、家も100年はもつ。「日本人は流浪の民になった」と武山さんはいう。だから住宅も100年もつ必要がない。安価な外材におされて、森林所有者も森に入らなくなった。

 森を放置するとどうなるのか?森は本来の野放図な力をよみがえらせる。そして天候の変化などで突然森が壊れたりするのも、自然淘汰のサイクルから見ると、意図的な現象だという。
 「人間が森を借りている。いろいろ迷惑かけるけど、あんまり暴れないでね、といったところです」。
 森林組合の仕事は、森の時間サイクルに合わせなければならない、という。100年が森のサイクルならば、人間の都合は3年、5年で物事をきめていく。いま、とにかく森を放棄してはならない。

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森を学ぶネイチャースクール
(間伐の選木中)
 武山さんは、南房総の低山歩きをすすめる。特に秋から早春にかけてがいい。気候温暖な南総は、冬でも山に入れる。アドバイスとしては、地元の人が同行すれば、より楽しくなる。山頂で、そろそろ日が傾いてきたので下山しようか、ではもう遅い。麓の森は真っ暗で危険、早めの下山を心がけること。山は太古に似て静寂。山では口を閉じて耳を澄ますこと。たくさんの自然が聴こえてくる。

 取材に南房総市和田町黒岩の安房支所を伺ったとき、ガラス茶碗にそそがれた冷水が出た。中に青い山椒の実のようなものが数個入っている。これは、5、6月頃にビンを洗うタワシのような白花を穂状につけるウワミズザクラの実の塩漬。杏仁香あんにんこうと呼ぶのだそうだ。武山さんは森の歩く百科事典。将来の夢を問うと「この仕事がつづけられること」ときっぱり。

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安房から森林ボランティア
(船橋へ出張講座)
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110年のヒノキとスギの複層林
(2段林)
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組合の製材工場
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木材の地産地消をめざす木工製品
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武山さんが手づくりしたブライダル・リース。
(木箱の釘以外は、すべて安房の森の贈り物)


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