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南房総 旅の玉手箱

第1回 海の自由業


海女のい出でた立ちの山口シズコさん。
(白装束は、どちらかというと観光用)
 外房の黒潮に洗われたキリリとした美人である。山口シズコさんは昭和16年生まれ、千倉の浜の海女である。現役10人程の中では一番若い(最年長は75歳)。漁師の家に生まれ、テングサの口が開くと、つまり解禁になると、小学校の頃は学校が休みをくれて、テングサ、ワカメ取りの手伝いをする。嫁ぎ先もすぐ近くの漁師の家で、親たちがきめてくれた相手である。
 彼女が海女になったきっかけは漁師のご主人が盲腸の手術後をこじらせたことにある。サザエは傷口の肉の上がりを助けるという。必死になって潜り、サザエをダンナに食べさせ事なきを得た。

 海女の季節は4月から9月ときめられている。時間も午前8時から海に出て、午後3時には浜に上がる。磯根の資源を守り、乱獲をしない。山口さんの家は海が目の前の“アワビ御殿”で、まさに職住接近。朝食をかき込むと、おまじないのように心臓薬の「救心」をのむ。息つぎが長くなるという。夏の水温の温かい頃は、電柱1本分の深みに潜りアワビを取る。アワビの大きさは12センチ以上、サザエは5センチ以上ときめられていて、以下の小さいものは、海へ返す。水揚げも多い時は、1日10万円、20万円と稼ぐ。

 午前1回の収穫が終わると海女小屋で昼食だ。蒸かしたサツマイモや、トウモロコシなど仲間で持ちより、おかずの食べ合いっこをする。千倉は海女・海士(男海女)も一緒で、本当に仲が良いという。一生涯、皆んな家族のようなつき合いをしていく。お互いに収穫は競っても、時に水揚げの少ない老海女に海の中でそっとケイ(アワビ)を分けてやったりする。
 シケの時は、皆んなでボタモチやそうめんをつくり、早くナギるように龍神様に御神酒をささげる。「好きな時に潜り、自分の力で稼げる海女は、いい自由業だど・・・」と成人した子供達にすすめても、彼らは、海はきらいだという。理由は子供の頃ほとんど母さんを海に取られていたからだろう。


〈白浜の海女まつり〉
真夏の夜の幻想的なまつり「海女の夜泳」。


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