季粋の宿 紋屋
 
季粋の宿 紋屋

女将のこだわり・心遣いが感じられる、モダンな和風宿。

2014年2月16日 宿屋の女将のメルマガ 第336号

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     ■       「きもちはいつまでも新米・女将のひとり言」
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■  ■ ■■■■ ■  1999年 日本初・旅館の女将によるメルマガ配信
  ■   ■     開始。経営の悩み、お客様への思い、社員や家族
 ■  ■■■■■   とのかかわり等など。
■ ■ ■   ■   きもちはいつまでも新米であり続けたいと願う、
  ■ ■■■■■   宿の女将のメルマガです。
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  ■ ■■■■■   http://www.monya.co.jp 2014.2.16発行 第336号
                           
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◆ 目が見えないということ ◆


私は、足が悪いのです。

変形性股関節症があり、そのうえ時々神経痛もでます。


生まれつき喘息もちですし、

一般の方に比べると病院通いが多いのが実情です。

それでも、とりあえず五体満足。

左目がこの年でもう白内障になっていると昨年言われてがっかりしましたが、

まだ治療が不可能な病気ではありません。



とりあえず、まだ目は見えますし、耳もよくはないですが聞こえます。

両手両足もあって、ない人に比べたらずっと便利です。



私たちが日頃考えているおもてなしは、五体満足な方へのおもてなし。

お誕生日や記念日のお客様に写真を撮って差し上げよう!

大概は喜んでくださるのですが、

今回、目がみえないお客様がお見えになったのです。

差し上げようとして、(そうだった!差し上げても見えないんだった)


奥様は見えるので喜んでいらっしゃいましたが、ご主人様は愛する奥様の

お顔も見えないんだなと思ったら、やるせなくなってしまいました。


目の見えない方は、聴覚が優れるとよく聞きます。

音や触感でお知らせできる何かがあるといいですね。



以前に、会議で誕生日の時に、従業員でハッピーバースデイの歌を歌うのは

どうかと私が意見を出したのですが、みんな気が進まないようでした。



でも、目が見えないお客様だったら、きっと従業員たちが集まってくる足音

も気が付くでしょうし、拍手の大きさや手を叩く数の多さも肌で感じるはず。

そんなことができたらいいですね。


どんなことができるのだろうと家に帰って主人と話し合うと、

以前聞いた話として、バスガイドさんの話がでました。


その時のお客様は、みなさん目が見えないお客様だったそうです。

観光案内をしてきたガイドさんが、お花畑に差し掛かった時、

「皆様、ご覧ください。右手に一面の菜の花が...」と言いかけて、

ハッとしたそうです。


それで、ガイドさんは、外へ降りて菜の花をたくさん摘んできました。

そして、「こちらの菜の花が一面に咲いているのですよ」と

目の見えないお客様に一人一人配ったというお話しでした。



     耳が聞こえない場合は、筆談ができます。

     写真も撮れば見えます。

     カードを差し上げても見ることはできます。

     反対に歌は聞こえませんけど。


今回は、デザートも普通なら簡単に説明するだけですが、

一つ一つ細かく説明しました。

カードは見えないけど、奥様が読んでくださるでしょうし、

渡された時にプレゼントとカードがあるんだなとわかっていただければ、

それでいいのかなと。



それでも、五体満足な人間には、何がわかって何がわからないのかが、

今一つわかっていない。

それを実感して悲しくなりました。


お客様は、「私はめくらを楽しんでいますから」とおっしゃっていましたが、

外へ出て都会の雑踏の中で見る目の不自由な方は、

みなさん苦労なさっています。


できるお仕事も大変少なくなるでしょう。


そうした中で、明るく元気に過ごすことは本当に難しいことだと感じました。



     紋屋は、エレベーターがありません。

     目が不自由だと、階段の上り下りも不便です。

     宿は大概建物が複雑なところが多いです。

     もし万が一、お二人とも目が不自由であったら、

     とても困るだろうとも思いました。



私たちが休憩を取る部屋は電力容量がすくないので、使いすぎると

時々ブレーカーが落ち、急に真っ暗になってしまうことがあります。

携帯がそばにないと、どこに何があるのかも全く不明になってしまい、

大変困ることを思い出しました。



何もかもがそろっている。どんなことにも対応ができる。

そんな宿はそう多くはないと思いますが、こうした不便を抱えるお客様が、

時々お越しになることを、すっかり忘れていてはいけないなと痛感しました。



建物をフラットにするとか、バリアフリーにするには、

莫大な費用がかかります。

そうしたこと以外で、何かをいつも提案できるようでありたいと、

切実に思いました。難しいですけれど。



それにしても、その奥様の献身的なこと。素晴らしかったです。

なんでもして差し上げる、ということではなく、

目が不自由でも、できる範囲で感じさせて差し上げている、

ということがとてもよく伝わったのです。


海から流れてきた石で造られたカエルさんが、

フロントデスクに置いてあるのですが、それを手に持たせてあげて、

造形から想像させていました。



私がプレゼントを差し出した時も、「手を出して」と。

そうした小さなことが、大きな大事なこと。

だからご主人様はお幸せなんだなと感じました。

きっと目が見えないからこそ、感じられることもたくさんあるのでしょう。


私は足が悪いので、足の悪い人たちがどんなことに困るか、

悪くない人よりずっと理解もできるし、すぐに気が付きます。

どんな気持ちになるとか、初めて分かった次第です。

やっぱり健脚なかたは、今一わかりづらい。それも仕方がないことです。



サービス業という職業は、

そうした多くの場面で本当にさまざまなことを考える機会がある。

接客の仕事は本当に幅が広いです。



これからも多くの機会を通して、おもてなしを考えていきたいと思います。



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 著  者:高尾葉子  okami@monya.co.jp
   発 行 者:高尾憲資  aruji@monya.co.jp
   発 行 所:季粋の宿 紋 屋  otazune@monya.co.jp
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◆素顔の女将◆

ソチオリンピックが始まって、男子のフィギュアスケートになると、

羽生くんファンの家内は連日大騒ぎ。

いちいち、ああだこうだと注釈をたれる、いや解説してくれるのだが、


             うるさい.....


                            (by aruji)