生理障害(せいりしょうがい)と病害虫(びょうがいちゅう)
枝に出た「がんしゅ病」 実に出た「がんしゅ病」

 

がんしゅ病
芽、葉、枝、幹(みき)、実など地上に見える部分に起こる細菌性病害(さいきんせいびょうがい)。ビワにとってはもっとも被害(ひがい)が大きい。年間を通していつでも伝染(でんせん)するが、傷口から雨が入ることで伝染するので雨の多い6月、9月、10月に発病(はつびょう)が多い。
ちりょうの難(むずか)しい病害(びょうがい)なので、傷が出来ないようにする、傷が早くなおるようにするなどの予防が大切となる。
日やけで一部が黒くなってしまった実

 

日やけ
実がまだオレンジにそまる前の時期(じき)に発生(はっせい)する。日やけした実は実の表面がわずかにくぼむものからひどくなると日やけ部分が黒っぽくなるものまである。原因は日光の熱で実が高温になるために起こる。実をおおう袋(ふくろ)に補強材(ほきょうざい)の油を多くぬったものやパラフィン紙など温度が上がりやすい袋(ふくろ)を使うと発生しやすいので日光を通さない、通気性(つうきせい)のよい袋(ふくろ)を使う。
赤紫(あかむらさき)色の斑紋(はんもん)

 

赤あざ
実の表面に発生する赤紫(あかむらさき)色の斑紋(はんもん)を「赤あざ」という。実がオレンジ色にそまるころ突然(とつぜん)あらわれる。軽症(けいしょう)では皮の表面だけだが、重症(じゅうしょう)になると実の水分が抜けてしまう。また重症でなくても、等級(とうきゅう)が下がることになる。原因は日やけと同じく日光によって実が高温になることで起きる。高温になるじきによって赤あざになるか、日やけになるか変わってくる。
カメムシ
カメムシはビワにかぎらず、多くの果物の害虫(がいちゅう)。果汁(かじゅう)に針状(はりじょう)の口を差し込み、汁を吸う。吸われた実はその周囲の水分が減り、スポンジ状になってしまう。袋(ふくろ)がかけられていると被害(ひがい)が少ないように思われがちだが、カメムシの口はするどく、袋(ふくろ)ごしに口を差し込んでくる。大量発生時の対策は農薬散布(さんぷ)する以外に方法がない。
千葉ではチャバネアオカメムシとクサギカメムシの被害(ひがい)が多い。
チャバネアオカメムシ クサギカメムシ ツヤアオカメムシ

 

モモチョッキリゾウムシ
4月ごろにあらわれ、袋(ふくろ)かけ前の実に卵を生み、実が落ちやすいように傷をつける。実が落ちると卵(たまご)からかえった幼虫(ようちゅう)が実を食べて成長する。実は袋(ふくろ)をかけてしまえば被害(ひがい)はほとんどない。
モモチョッキゾウリムシ  
ナシミドリオオアブラムシ
ナシミドリオオアブラムシは葉の裏に寄生(きせい)し、葉から汁を吸う。50ぴき以上が2週間ほど寄生(きせい)すると葉が黄色くなり落ちてしまうという観測(かんそく)データもある。大量に発生すると収穫(しゅうかく)や木の育ちに重大な被害をおよぼす。少量の発生なら問題はないが、大量発生(たいりょうはっせい)の場合は農薬(のうやく)を使う。
ナシの葉の裏で世代をくり返し、10月になると羽を持つアブラムシが発生してビワの葉にやってくる。ビワの葉の裏に卵で冬を越(こ)し、春になるとそこで2〜3世代をすごす。5月ごろになるとまた羽を持つアブラムシが発生し、ナシの葉へ移っていく。
ナシミドリオオアブラムシ  
モンクロシャチホコ
(ガ)であるモンクロシャチホコの幼虫(ようちゅう)は雑食性(ざっしょくせい)で集団で発生するため、ビワも被害(ひがい)にあう。ビワの新芽(しんめ)、袋(ふくろ)かけ前の実を食べる。数が多いと重大な被害(ひがい)になり、特に実が被害(ひがい)にあうと、まったく収穫(しゅうかく)できない場合もある。対策は早期(そうき)発見につとめ、幼虫(ようちゅう)の群(む)れを取り除(のぞ)くか農薬(のうやく)を使う。
モンクロシャチホコ(幼虫)  

 

しなび果 へそ黒
ハウス栽培(さいばい)高温障害(こうおんしょうがい)
ハウス栽培(さいばい)のみ起こる。品種(ひんしゅ)、発生時期、発生場所のちがいによってさまざまな症状(しょうじょう)になる。へその周りが黒や青に変色する「へそ黒」や十分に育たないうちにしなびてしまう「しなび果」などがある。これらはハウス内の温度を28℃以下に保つことで防止できる。

参考資料・出展
 びわ 房州ビワを中心とした栽培法  中井 滋郎著 株式会社とみうら発行